放非接触で温度を測定できる放射温度計をレビュー
つい先日、梅雨の平日なら屋外バーベキュー場も空いているだろうと予測し、バーベキューを企画しました。
予測していた通り、人もまばらで密になることなくバーベキューを楽しむことができました。
楽しいバーベキューの中で1つだけ不満が・・・
それは火です。
なかなか炭に火がつかずメインディッシュが焼けない事態に。
「炭を制する者がバーベキューを制す」と言われるように、バーベキューで炭は大事です。
なかなか炭に火がつかない中、火おこし担当は責任感から燻る炭の上にメインディッシュを焼くが、まったく焼けず空回り。
「あー、こんな時、炭の温度が簡単に測定できればなー」
と、思い、スマホで検索してみると・・・
見つけました、放射温度計などという非接触で温度を測定できる便利なアイテムを!
早速、今後、色々な場面での活躍に期待を込め、放射温度計を購入することにしました。
そして、数ある放射温度計の中から購入したのはこちら「MYCARBON 赤外線温度計」(以下、赤外線温度計呼びます)となります。
選定した理由は一言「安かった」に尽きます。価格は3000~4000円台で販売されていました。
さすがにサーモグラフィーを買うお金はありませんので、お手頃な価格の赤外線温度計にしました。
今回は、赤外線温度計のレビューをおこないたいと思います。
赤外線温度計の紹介
では、赤外線温度計を紹介したいと思います。
パッケージの紹介
まず、商品パッケージを紹介いたします。
パッケージ正面のイメージです。
パッケージ正面には、「MYCARBON INFRARED THERMOMETER」(MYCARBON 赤外線温度計)と表記されいます。
この製品は、MYCARBON という会社が販売(製造?)しています。
MYCARBON という社名は知りませんでしたので、ネットで検索したところかなりの数がヒットしました。検索結果の中から、MYCARBON社のHPがありましたので紹介いたします。
次に、パッケージ背面のイメージです。
パッケージ背面には、顧客サービスの住所に USA と表記されてました。
そのため、MYCARBON はアメリカの会社だと思っていましたが、MYCARBON 社の HP の情報によると、所在地は中国(深セン)となっています。
MYCARBON はおそらく中国の会社だと思います。
パッケージ背面に明記された製品の特長と仕様を紹介します。
以下は、赤外線温度計の特長です。
Features | 特徴 | |
Measuring range | 測定範囲 | -50~380℃ |
Accuracy | 測定精度 | ±1.5℃/±1.5% |
Resolution | 分解能 | 0.1℃ |
Distance spot raito | 距離比 | 12:1 |
Emissivity | 放射率 | 0.95(fixed) 0.8 optional |
0.95(固定)0.8オプション | ||
MAX/MIN | 最大/最小 | |
Self calibration function | セルフキャリブレーション機能 | ±5℃ |
Data Hold Function | データ保持機能 | |
Auto power off | 自動電源オフ | |
Laser ON/OFF selectable | レーザーのオン/オフを選択可能 | |
Backlight ON/OFF selectable | バックライトのオン/オフを選択可能 | |
1.5V AAA batterry 2PCS | 1.5V AAA バッテリー2個入り |
以下は、赤外線温度計の仕様です。
温度測定範囲は「-50~380℃」です。日常で使用するには十分だと思います。
Specification | 仕様 | |
Temperature range | 温度測定範囲 | -50~380℃ |
Accuracy | 測定精度 | 0~380℃:±1.5℃ or ±1.5% Whichever is greater -50~0℃:±3℃ |
0〜380℃:±1.5℃または±1.5% どちらか大きい方 -50~0℃:±3℃ | ||
Repeatability | 反復率 | 1% of readinf or 1℃ |
1% の温度表示または 1℃ | ||
Response time | 応答時間 | 500mSec,95% response |
500msec、95%の応答 | ||
Emissivity | 放射率 | 0.95 Preset, 0.8 optional |
0.95プリセット、0.8オプション | ||
Distance to Spot size | 距離係数 | 12:1 |
赤外線温度計の紹介
続いて、赤外線温度計の本体などを紹介いたします。
まず、取扱説明書を紹介いたします。
表紙は英語表記です。
取扱説明書を開いてみます。
取扱説明書は、英語以外にも、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、そして日本語に翻訳されています。
MYCARBON はグローバルな印象を受けました。
次に、本体と付属品です。
少し見えにくいですが、「RoHS」のロゴがプリントされていました。この製品は、RoHS 指令(ローズ指令)に対応しています。
本体のほかに、単4電池が2本付属していました。
単4電池には、KENDAL と社名らしき文字が表記されていました。KENDAL と表記された電池は初めて見ましたので、ネットで調査してみました。
KENDAL
広東省良新エネルギー株式会社は、2001年に設立された上場企業で、アルカリ電池及び亜鉛炭素電池の製造に19年間携わっています。
Made-in-Chinaより引用
少し使うのが怖かったのですが、電池の製造に19年間携わっているという言葉を信じ、付属の単4電池を使用することにします。
以下は、本体左右の画像です。
次に、液晶パネルと各種スイッチに目を移してみます。
三角マークがプリントされた左の赤いスイッチで、レーザーのオン/オフを切り替えます。
電球マークがプリントされた右の赤いスイッチで、バックライトのオン/オフを切り替えます。
Mode とプリントされた中央の黒いスイッチで、[MAX] → [MIN] → [EMS] → [CAL] の順でモードを切り替えることが可能です。
以下は、Mode の詳細説明となります。
MAX | 測定データ最大値を表示します。 |
MIN | 測定データ最小値を表示します。 |
EMS | 放射率を選択します。デフォルトでは0.95です。右の赤いスイッチで0.8に変更し、左の赤いスイッチで0.95に戻ります。例えば、水の放射率は「0.96-0.98」ですので、EMSには0.95を設定します。 |
CAL | -5℃~+5℃の間で調整することが可能です。 |
次に、縦のサイズを測定してみます。
縦の長さは「約150mm」です。
どことなく握りなれたサイズです(笑)
次に、横のサイズを測定してみます。
横幅は「約40mm」です。
やはり手に持った感じに違和感がありません(笑)
次に、重量を測定してみます。
本体と単4電池を合わせて「124g」でした。
スマホ(OPPO Reno3 A)が「195g」でしたので、それと比べるとだいぶ軽く感じます。
手に持って測定しますので、この重さなら腕に負担がかからないと思います。
単4電池はトリガー(引き金)部分を開いてセットします。
なお、電源の ON/OFF スイッチはありません。
トリガー(引き金)を引くと電源が入ります。また、20秒間操作しないと、自動的に電源が切れます。
赤外線温度計の測定検証
では、実際に赤外線温度計を使って温度を測定してみたいと思います。
なお、測定対象として、「氷」、「氷水」、「はんだごてのコテ先」を用意しました。氷、氷水はマイナス、もしくは「0℃」付近の低温の測定で、はんだごてのコテ先は高温の測定となります。
また、放射率は「0.95」、「0.8」の両方で測定したいと思います。
氷の温度測定
まず、氷の温度を測定いたします。
グラスに入れた氷の温度を測定します。
冷蔵庫で凍らせた氷の温度は、およそ「-10℃」程度でしょうか。
放射率0.95では「-9.9℃」と測定され、放射率0.8では「-17.6℃」と測定されました。
氷の放射率が「0.96-0.98」ですので、放射率0.95の測定結果が実測値に近いのではないでしょうか。
氷水の温度測定
続いて、氷水の温度を測定いたします。
グラスに入れた氷水の温度を測定します。
氷水の温度は、およそ「±0℃」程度でしょうか。
放射率0.95では「0.1℃」と測定され、放射率0.8では「1.6℃」と測定されました。
水の放射率が「0.92-0.96」ですので、放射率0.95の測定結果が実測値に近いのではないでしょうか。
はんだごて(コテ先)の温度測定
次に、はんだごてのコテ先の温度を測定いたします。
以下は、今回、温度を測定するはんだごてです。
メーカーの公称では、約90秒で「340℃」になるとのことです。
放射率0.95では「140.7℃」と測定され、放射率0.8では「150.1℃」と測定されました。
どちらの放射率でも、公称値とは程遠い値が計測されました。
コテ先温度計が販売されていますので、放射温度計では正確に測定できないのかもしれません。
赤外線温度計のお手入れ
最後に、取扱説明書のお手入れの方法を紹介いたします。
以下は説明書に記載されていた内容です。
1.レンズ清潔:きれいな圧縮空気で雑物を吹き消し、またラクダ毛ブラシで残留した雑物を脱ぎ去って、最後に濡れた綿布で注意深く表面を拭きます。
2.外殻清潔:濡れたスポンジ又はやわらかい布にせっけんと水を含ませて拭きます。
注意:
1) プラスチックレンズの清潔にいかなる溶剤を使用しないでください。
2) 温度測定計を水中に浸けることは絶対におやめください。
お手入れには、圧縮空気やラクダ毛ブラシが必要になります。
残念ながら、筆者は圧縮空気もラクダ毛ブラシは保有していませんのでお手入れはあきらめます。
まとめ
以上が、MYCARBON 赤外線温度計のレビューとなります。
いかがでしたでしょうか?
使い方はとても簡単で、EMS を選択してトリガーを引くだけです。
また、測定時間も公称通りで一瞬で測定結果が表示されます。
測定精度に関しては、高温の測定には難がありそうです。
炭の場合はわかりませんが、ホットプレートは公称値に近い温度を計測できました。しかし、本稿で取り上げたはんだごてのコテ先は公称値とは程遠い温度を計測したことを考えると、物によるのではないでしょうか。
ただし、低温の測定に関しては問題ないと思います。
今後、いろいろな物の温度を測定し検証データを蓄積していきたいと思います。
総合的にみると、安価ですがまあまあの精度でよい製品だと思います。
放射温度計をお探しの方の一助となれば幸いです。その際は MYCARBON 赤外線温度計を候補に入れてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では。